FC2ブログ

プロフィール

バカッパ

Author:バカッパ
作家志望40代の書評等日記のようなものです。

自作の小説については、「小説家になろう」サイトに掲載されておりますので、興味があれば是非!

作家としては山田風太郎先生を敬愛しています。その他、マンガ(古くは藤子不二雄・石森章太郎、キン肉マン、最近のモノまで)、ゲーム(ドラクエ・逆転裁判など)、プロレス(主にNOAHを応援しています)、特撮(ウルトラマン・仮面ライダー)などが好きです。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

2011/06/20 (Mon) 21:42
『明治十手架』

jitteka ue
jitteka sita

風太郎先生の『明治十手架』をようやく読み終えた。明治物は上下巻になっている長編が多く、本編以外の中編も含めて、読むのに結構な時間が掛かってしまった(まあそれは私が一気に読むタイプじゃないというのもあるんですが・・・)。

では、各作品の感想を。

『明治十手架』
主人公は日本で最初の監獄教誨師となった原胤昭。彼の若き日の物語(勿論、風太郎先生の創作です)を、老いた胤昭自身が語る形になっています。とはいえ、三人称で書かれている部分もあり、それらに関しては他の人物の心持ちも描かれています。そういう意味では若干文章ルールから逸脱している感が無きにしも非ずですが、そんな事は目を瞑っても充分読み応えのある作品です。

胤昭が石川島の看守をしていた時代、彼の師である有明捨兵衛はそこを訪れた際、5名の悪看守・巡査に殺されてしまう。胤昭は怒りと嘆きでそれを契機に看守を辞め、捨兵衛の二人娘と銀座で『十字屋』という絵草紙店を開く。そこでは放免された囚人の世話も行っていたのだが、それが元で5名の風変わりな囚人達と縁が生じ、5名の悪看守・巡査も再び絡んでくる。何度か胤昭に煮え湯を飲まされた悪看守達は、どうにかして復讐や口封じをしようと、胤昭と決別した5囚人を利用して、危害を加えんとする。そこである重大事件が発生し、それに影響を受けた囚人達は改心し、味方の振りをしつつ、密かに胤昭を守り、悪看守達を倒そうと試みる。そして忍法帖の如く、対決が繰り広げられる(ちなみにこれを『けだもの勝負』と書いていて、そのネーミングセ ンスには感心させられます)。

この話もラストに何とも言えない余韻があって良かったです。何となく中盤で仕込みは読めましたし、若干、ストーリーに予定調和的な部分もあったものの、それが上手く働いている感もあり、作品の質を損ねていません。

また、風太郎作品らしく、当時の有名人との邂逅なども沢山描かれており、退屈させません。正岡子規と漱石、ドクトル・ヘボン、三島通庸、福島自由党、大久保利通を襲撃する面々、などなど、さすがの風太郎節です。

長かったですが、充分堪能しました。


『明治かげろう俥』
大津事件(ロシア皇太子襲撃事件)の犯人・津田三蔵を捕まえた(斬り付けた)戴勲車夫、北賀市太郎(正式には北賀市市太郎という?)と向畑治三郎 の物語。創作かと思いきや、この二名は実在の人物だそうで、私は全然知りませんでした。明治期を描いたドラマなんかにも出てくるような人物だとか。

勿論、実際の物語はおそらく創作で、彼ら二名に稲妻小僧と呼ばれた凶賊・坂本慶二郎(これは実在の人物のようです)、津田三蔵の娘・お葉、娼婦の お蓮などが絡んできて、栄光と挫折を彩ります。

北賀市太郎の方を見ると、壮大な純愛ストーリーのようになっています。大犯罪人の娘として堕ちるところまで堕ちたお葉を救わんとする様が描かれ、 ラストは味のあるものになっています。

向畑治三郎の方は、栄誉で急に転がり込んだ大金を基にお蓮や家族が絡み、人間の運命流転が描かれています。

二人は途中で何度か交わりますが、中でも治三郎が商売に大失敗した俥が、炎の中から脱出する市太郎の命を救い、役に立つ場面は圧巻でした。二つの物語を離してはくっつける技量の高さが窺えます。

序盤、ちょっとかったるさも覚えましたが、途中からは引き込まれました。これまた名中編だと思います。


『黄色い下宿人』
シャーロック・ホームズへのオマージュ的作品で、以前に別の短編集に収録されているのを読んだことがあるので、流し読みしました。

「黄色い下宿人」というのは、ホームズが活躍していた頃にイギリスに留学していた日本の某有名人で、彼が犯人と疑われながらも名探偵顔負けの推理 を発揮して、周りを驚かす物語です。改めて読んでみて、人の作品の登場人物まで巧みに操る風太郎流に脱帽です。
スポンサーサイト



<< 一段階アップ | ホーム | 高速1000円終了 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP