FC2ブログ

プロフィール

バカッパ

Author:バカッパ
作家志望40代の書評等日記のようなものです。

自作の小説については、「小説家になろう」サイトに掲載されておりますので、興味があれば是非!

作家としては山田風太郎先生を敬愛しています。その他、マンガ(古くは藤子不二雄・石森章太郎、キン肉マン、最近のモノまで)、ゲーム(ドラクエ・逆転裁判など)、プロレス(主にNOAHを応援しています)、特撮(ウルトラマン・仮面ライダー)などが好きです。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

2009/05/20 (Wed) 20:20
「警視庁草紙」

20090520072709.jpg


風太郎先生の「警視庁草紙」をようやく読み終えた。数ある作品の中でこれを「最高傑作」と推す人も結構いるようだが、確かにそれに相応しいものだった。

話の根本は、西南戦争が起こらんとしている明治初期の警視庁と旧江戸幕府時代の奉行・同心との小競り合いというか、化かし合いである。ここを歴史的に大きく見れば西郷隆盛VS大久保利通にスポットが当たるところ、大久保の腹心とも言うべき警視庁大警視(今で言う警視総監?)・川路利良、若しくはその配下の目で時代を見据えさせている。江戸時代、その警視庁と同様の任に当たっていた元南町奉行・駒井信興ほか、元同心・千羽兵四郎等は、警視庁に半ばからかいの気持ちでちょっかいを出していく。

本作も短編の積み重ねが一つの長編を成すという、風太郎先生お得意のスタイルだが、前に出て来た人物や出来事がうまい具合に後の方へも絡み出し、伏線や驚きを生み出している。途中でとある端役が叱られるような何てことない場面があるのだが、それも後々、大きな意味を持っていたりして、書き方の妙を思い知らされる。

また、実際の人物を描いているという強みもある。何も言わなくても、西郷・大久保などは誰でも知っているので、特に詳細な説明なく書いていけるのは、うまい手法だと思う。その分、創作した人物やちょっとした役割の人間の造形がしっかり出来ている。

それに併せて、本当の歴史と創作部分の融合がうまい。例えば、夏目漱石と樋口一葉が幼年時代に会っていたとか、東条英機の祖先が出て来たりとか、忍法帖チックに異常な聴覚を持っている奴が盗聴したりとか、実際にあったかどうかはわからない事象をさもあったかのように描いている。

賛否両論あろうが、私は川路大警視に好感というか興味を持った。どんな手を使おうが国家の方針を守るという姿勢は、時に非情冷徹に見えるが、尊敬していた大西郷に対してさえ私情を交えず任を全うするところに感じ入った。こういう人が時代を作ったのだろう。話としても、終盤の川路VS駒井の直接対決は面白かった。

そして、話の最後に千羽兵四郎はある決断をする。美しい恋人の芸者もいて引き留めるが、男としての決断を下し、ある種の死地へ赴く。そういう時代だったのだと改めて思わされたし、読んでいてもの悲しい気分になった。戦争があった時代ってこんな例はたくさんあったんだろうなあ。特に見送る側の女性の気持ちって、本当に張り裂けんばかりだったんでしょうね。気持ちの整理も付けられたんだろうか。そう考えると、私の恋の話なんて屁でもないですね(とはいえ、読んだら気分的に余計辛くなりましたが)。

と、まあかなり長いですが(そのせいでなかなか読み始める気にならなかったのですが)、読む価値はあると思います。実際、とある小説指南本でも読むべき一冊に上がってましたので、作家志望の方なども良かったらどうぞ。
スポンサーサイト



<< | ホーム | インフル >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP