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2011/11/13 (Sun) 23:10
『売色使徒行伝』

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風太郎先生の『売色使徒行伝』を読んだ。風太郎先生の短編群の中でも切支丹に関する作品を集めたもので、宗教や信仰に対する鋭い切り口が印象的でした。

では、各作品の感想を。

『姫君何処におらすか』
日本におけるキリスト教の普及は、口伝等の形態もあり、本来の趣旨と違う形で広まる事もあったという。とある島で邪教のように広まっている事に衝撃を受ける宣教師プティジャン。マリア様に見立てた女性を次々に島の男が性交していくという酷い内容(さらに成り行きで最後は彼女を食ってしまう)だが、最後、プティジャン自身も形は違えど同じような行為を行うところに宗教の解釈の難しさ、恐ろしさがあるように感じた。

『スピロヘータ氏来朝記』
ザビエルと共に日本に上陸した日本人パウロ弥次郎。彼は過去に女を犯し、その兄を切り殺す悪行を働いていた。それを乗り越え聖職者となった彼の前に、その女が布教先の城主の側室となって現れる。結局、彼は女の残酷な復讐に負け、聖職者から転落してしまう。推理小説ではないが、ある物品のすり替えトリックがあり、それがまた宗教という側面で見ると凄い風刺だ。また、キリスト教の伝来と性病の伝来を重ねて皮肉っているところがまた凄い。ここまで書ける事に風太郎先生の度胸を感じる。

『邪宗門仏』
弾圧の恐怖に負け一度棄教した女性が、イギリス船の中で聖母子像を見て、再び切支丹に戻って殉教する。その絵自体は卑猥な落書きにも等しいものだったという風刺が効いているのだが、最後に奇蹟が起こる。殉教シーン(処刑シーン)がなかなか真に迫っていて上手い。

『奇蹟屋』
切支丹に魅せられた太兵衛は、トリックを利用して奇蹟を見せ、信者を増やしていく。そして、天草の城の不知火姫に惚れ彼女の心を掴むためにさらに奇蹟を起こそうとするが、最後にはバレてしまった上、禁教令により捕えられ処刑されてしまう。最後、恋への執着で本当に奇蹟を起こす辺りが風太郎先生らしい。

『山屋敷秘図』
切支丹宗徒を捕えておく屋敷、通称「山屋敷」。ここに伴天連キアラが捕えられており、拷問に耐えていた。しかし、そこをころび伴天連の沢野忠庵ことクリストファ・フェレイラが訪れ、自身が感情倒錯症により転んだと述懐する。キアラはそれを詭弁と非難するが、忠庵の仕掛けた罠(女と同牢にするというもの)に嵌まり、彼自身も転んでしまう。背教の生々しさが描かれている傑作だと思う。

『売色使徒行伝』
ストイックな同心とエピキュリアンの同心。二人がその職を辞め、切支丹と女郎屋になるのだが、最後に二人は同じ磔柱に上がる。エピキュリアンの方が人心掌握しているように描かれているところに、風太郎先生の皮肉が感じられる。
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