吉田修一『愛に乱暴』を読みました。
書店で何となく手にして読んでみましたが、面白かったです。文庫版は上下巻になっていて、上巻はダラダラ読んでましたが、下巻に入った途端、一気に読んでしまいました(まあ、一気に読める小説が必ずしも良いものとは言えないという説もありますが)。
内容としては、旦那の父母と同居している主人公・桃子に旦那の浮気が発覚。同時に義理の父が倒れたり、自身の体調不良など、苦難が降りかかる。この旦那の浮気を軸に、桃子の日々の様子と日記が描かれ、話は進展していきます。
まあとにかくこの旦那の身勝手さが「無自覚の悪」という感じで凄い。また、その母も息子の方に傾倒して、桃子を変人扱いするあたり、酷い様子が出ています(桃子の方にそう思わせる行動があったのも事実ですが)。旦那の浮気を知りながら、何となく平坦に過ごしている感があり、そこは少し違和感を感じました。普通ならもう少し問い詰めたり、行動に出たりしないかなと。
途中、一つのミスリードに気付かせる部分があり、これは上手だなと思いました。また、最後が捨てる神あれば拾う神あり的な感じで、イヤな雰囲気のまま終わらなかったのも良かったと思います。
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