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Author:バカッパ
作家志望30代の書評等日記のようなものです。

自作の小説については、「小説家になろう」サイトに掲載されておりますので、興味があれば是非!

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2019/09/17 (Tue) 20:10
『コンビニ人間』

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村田沙耶香『コンビニ人間』を読みました。

芥川賞受賞作で気になっていて、文庫になったところで買いましたが、やっと読んだ次第。読み出したらわりと一気に読み切ってしまいました。

どこか人と違う主人公は30代になってもコンビニのバイトで暮らし、もうそれが生活の一部、人格形成の一部となっており、それを取り巻く状況が描かれています。

とにかく主人公と白羽という男のダメっぷりが秀逸です(ここで二人をダメと言ってしまうと、主人公から見た「こちら側の人間」になってしまうのだろうが)。主人公は何処か世間からズレているし、白羽は本当のクズみたいな男で、上手に描かれていると思います。小説にはこういう人物が必要だなと、改めて実感させられました。

あと作者自身がコンビニでバイトを続けていたというだけあって、コンビニの中の描かれ方が実に見事です。アルバイト達も「こういう奴いるなあ」って感じに書かれています。

ちなみに作者の師匠(?)は宮原昭夫という芥川賞作家なんですが、私が何度かコントの投稿で載せてもらった地元新聞の選者がこの方なんですよね。だからどうしたという訳ではないですが、多少なりとも縁を感じます(笑)


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2019/09/16 (Mon) 16:58
『神曲崩壊』

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山田風太郎『神曲崩壊』を読みました。

これも手には入れていたものの、なかなか読み出せなかった風太郎作品で、ようやく読み出しましたが、面白かったです。

ストーリーとしては、核戦争で地球が崩壊し、その影響でダンテの語っていた『神曲』における地獄も崩壊。たまたま『神曲』を読んでいた主人公は、ダンテに導かれて変容した地獄を巡るというもので、この地獄が実に馬鹿らしくおかしなもので、風太郎先生らしい描き方をされています。

食べ物に絡んで死んだ者の地獄、酒に振り回されて死んだ者の地獄、性に翻弄された者の地獄、怒りん坊の地獄など、現実の人物の死に方を風刺しつつ、地獄世界を描いており、新たな発見プラス笑いが見事に表現されています。風太郎先生には偉人の死を集めた『人間臨終図鑑』という名著がありますが、それを上手く応用された感じで、この偉人ってこんな人だったのかという面も垣間見られて面白かったです。

風太郎先生の凄い所は、偉人であれ人間を滑稽かつ馬鹿馬鹿しさが滲み出るくらい生々しく描いている事で、なかなかここまで書ける度胸って凡人にはないように思えます。秀吉と始皇帝なんて勃起力の競争をさせられてますし、嫉妬の地獄では皆、尻からピーッと屁をこかされてます(笑)

良き一作でした。

2019/07/13 (Sat) 18:48
『愛に乱暴』

吉田修一『愛に乱暴』を読みました。

書店で何となく手にして読んでみましたが、面白かったです。文庫版は上下巻になっていて、上巻はダラダラ読んでましたが、下巻に入った途端、一気に読んでしまいました(まあ、一気に読める小説が必ずしも良いものとは言えないという説もありますが)。

内容としては、旦那の父母と同居している主人公・桃子に旦那の浮気が発覚。同時に義理の父が倒れたり、自身の体調不良など、苦難が降りかかる。この旦那の浮気を軸に、桃子の日々の様子と日記が描かれ、話は進展していきます。

まあとにかくこの旦那の身勝手さが「無自覚の悪」という感じで凄い。また、その母も息子の方に傾倒して、桃子を変人扱いするあたり、酷い様子が出ています(桃子の方にそう思わせる行動があったのも事実ですが)。旦那の浮気を知りながら、何となく平坦に過ごしている感があり、そこは少し違和感を感じました。普通ならもう少し問い詰めたり、行動に出たりしないかなと。

途中、一つのミスリードに気付かせる部分があり、これは上手だなと思いました。また、最後が捨てる神あれば拾う神あり的な感じで、イヤな雰囲気のまま終わらなかったのも良かったと思います。



2019/06/02 (Sun) 20:33
『今日、ホームレスになった 平成大不況編』

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令和になったのに何の更新もしてなかったですね(笑)

増田明利『今日、ホームレスになった 平成大不況編』を読みました。

人から借りて読んだんですが、ホームレスへのインタビューにより、生々しい転落人生の数々が綴られており、他人事じゃないと思わせられる内容でした。

この本でインタビューされているホームレスの大半が、元は普通に稼いで生活していた者で(中には結構成功したいた者もいて)、不況なり、競合店の進出なり、身内の病気なり、何らかのきっかけで転落しているとのこと。確かに、借金が後で響くような例も多々ありましたが、家の購入など、致し方ない点もあったりで、身につまされる思いです。

また、ホームレスを食い物にするような悪辣な者もいると知り、この生存競争社会の恐ろしさをまざまざと見せつけられたように思います。

自らは買って読んだりしなそうな本なので、なかなか貴重な一読でした。

2019/04/27 (Sat) 10:02
『裂』

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花村萬月『裂』を読みました。

前々から読みたいと思っていた作品で、文庫になったら買おうと思ってましたが、また図書館で見つけたんでようやく読みました。萬月作品はちょこちょこ読んでいますが、久しぶりに読んだらやはり面白かったです。

主人公は東大卒の若手女性編集者・御名子で、小説家志望の安良川王爾が書いた『裂』という作品を読むところから始まります。この『裂』の登場人物には御名子の名前が使われ、穢されていたのだった。ここから御名子に王爾への嫌悪感やある種の興味のような感情が入り混じり、物語が展開していきます。

花村萬月らしい、性と薬と暴力が絡み合った作品で、そこに小説論があちこちに散りばめられていて、興味深かったです。萬月本人も出て来て、新人賞の選評について語ったり、小説論について語ったりするのは面白かった。「現実の方が突拍子もない事が起こり得るのに、それを虚構で描くと否定される」っていうのは、「なるほど」と思いました。

ちなみに「山田風太郎なんて五・七・五で文章ができあがってる。読者は気付きもしないですけれどね」なんてセリフもあって、私も気付いていなくて、やはりプロは違うなあと実感。

ちょっとラストが「こんなもんか」という感じはしましたが、十分に楽しめる一作でした。そして、自分がアマチュアだと、改めて思い知らされました。



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